Cat Schroedinger の 部屋
 
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2005年12月5日を表示

ロゼッタ

ロゼッタ
 1999年  仏=ベルギー合作
 出演: エミリー・ドゥケンヌ, その他
 監督: ジャン=ピエール・ダルデンヌ, リュック=ピエール・ダルデンヌ

あらすじ
 キャンプ場のトレーラーハウスで酒浸りの母親と暮らす毎日。そこから抜け出すためには、まず働かなくてはいけないロゼッタは、突然向上を首になります。ロゼッタは必死に抵抗しました。しかし懇願してみても、暴れてロッカーに閉じこもってみても、やはり仕事を取り戻すことはできませんでした。怒りと絶望をはっきりと表情に刻みながらも、ロゼッタは涙を見せません。新しい仕事を見つけるために、大きく息をつくと、怒ったような早足で歩き始めるのでした。

 仕事を手に入れるため、やっと出来た友人を裏切って、密告し仕事を手に入れます。その後の絶望感の後、友情と言うか、愛に目覚めたところで、ドラマは終わります。

感想
 目が回るほどの、接写の連続、音楽が一切無く、足音や息使い、ロゼッタを中心と言うか、ロゼッタ一人中心の映像。台詞も非常に少なく、生活が説明も無く流れます。

 ロゼッタはどんな状況でも涙を流しません、仕事を得るために、とにかくがむしゃらに挑んでいきます。プライドがあって、生活保護は受けたくないのです。キャンプ場のトレーラーハウスに住んでいることも嫌なのです。自分だけの専用の入り口を作っています。そこで外用の靴から、キャンプ場用の長靴に履き替えます。このシーンが何度も、何度も現れます。

 空瓶でつくった仕掛けで魚を釣ったり、おでこでゆで卵を割って食べたりするほほえましい様子、厳しい生活の中にも楽しみを見いだす姿は、観ていていたたまれないほどです。実に写実的です。現実感があります。観ていると、何時の間にやら彼女にエールを送っています。
 
 友達が出来て喜ぶロゼッタ、所が自分の仕事が無くなり、せっかくのこの友達を裏切り、職を得ます。所が、友達を裏切った罪悪感と、アルコールに浸りきった母親の姿を見て絶望感にさいなまされ、自殺しようとしますが、プロパンガスはガス欠。そこに裏切ったにも拘らず、友人のリケが来て、ロゼッタは初めて涙を流しました。その顔には愛とか友情の大事さに気づき、希望の顔が読み取れるのでした。

 ヨーロッパでは就職が本当に大変なのです。町には仕事の無い若者が昼間からごろごろしています。反面生活保護や、失業手当は結構充実しています。当然働くものに対する税金も馬鹿高いのです。この映画の後、町で仕事の無い若い女性をロゼッタと呼ぶようになったそうです。
 
 撮影の手法、社会問題をドキュメンタリーのような、新たな手法で描いたこと、新鮮で写実的で素晴らしい映画でした。



2005年12月5日(月)21:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 映画  ドラマ TV | 管理


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