Cat Schroedinger の 部屋
 
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2004年9月を表示

「道具屋」「宿屋の仇討ち」

今日は落語の会で、演目は「道具屋」「宿屋の仇討ち」道具屋のほうは前座話で軽い話で、与太郎さんがむちゃくちゃする話だったが、今日の師匠もやや軽くやってた。
 
「おい、亀吉、ちょいと明日、店を開けることになったんだが、そのあいだ、店番してくれないか」
「あぁ、いいよ。なにをすればいいんだい」
「なに、大したことじゃない。おまえ、目は利くかい?」
「ああ、目は利くよ。おじさんの後ろで、猫があくびしてるのなんかよく見える」
「ばか、そうじゃない。早い話が、ここにある鉄瓶、これがふめるか」
「踏めるよ」
「お、偉いなぁ、それじゃあふんでみろ」
「お湯が煮立ってるじゃないか」
「煮立ってたっていいじゃないか」
「よくないよ、踏んづけたら火傷するもの」
「足で踏むんじゃない、目でふむんだ」
「目で?」
「分からないやつだな。いくらか値が付けられるかと聞いてるんだよ」
「なんだ、それならそうと最初からいえばいいじゃないか」
「わかるか?」
「わかるわけない」
「威張るようなことじゃないだろ。まぁ、いいや。ここに元帳がある。これに値段やなんやかやが全部書いてあるから、それを見て、例えば五百円と書いてあったら倍の千円ぐらいで言いな。向こうがまけろと言ったら二、三百円引いても、少しは儲けが出る。儲けはおまえの駄賃にしていいから、元はこっちに入れとくれ。それじゃあ頼んだよ」

 と任せたはいいものの、客との掛け合いは予想通りドタバタしたものになり、すったもんだのあげく、鉄砲の値を聞かれて、「へい、音はズドン」

宿屋の仇討ちのほうはなかなか良い出来だった。

旅のお侍が、宿屋にやってきました。侍は、疲れた体を休めたいので、静かに寝られる部屋が欲しいと言います。宿屋の者は、奥の部屋に侍を通しますが、悪いことに隣の部屋には、江戸からの3人連れが泊まっています。

 江戸っ子が3人も揃っているわけですから、うるさいのうるさくないの、ドンチャン騒ぎをするわ、相撲を取るわと大騒ぎでございます。夜になったらなったで、自分達の女遊びの話で大いに盛りあがります。その中の1人、源兵衛さんが、

「こう見えても、俺っちは、その昔、川越の方で、石坂って言うお武家の奥さんといい仲になっていたんだが、こういうことはそのうち亭主にバレルと言うもの。相手は武士だろぅ。見つかった、はいすみませんじゃあ、すまない。手打ちにしてくれるなんて言い出したもんだから、こっちも黙って斬られるわけにいかない。相手の刀を奪ってブスリ。あれからもう5年も経つのか。いまでこそ、俺もおとなしくなったけど、昔はそれなりに悪だったのよ」

なんて、たわいない話で盛りあがっております。

 さて、これを隣で聞いていたお侍が。店のものを呼んで言うには、拙者は川越藩の家中の者で石坂と申す。先年討たれた弟の敵を討つため諸国を歩いていたが、ついに仇を見つけた。ここで斬りこんでも構わないのだが、それでは当家に迷惑をかける。ついては、明朝まで逃げないように縄で縛っておいて欲しい。もし万が一、彼らが一人でも逃げたら、当家は皆殺しにするから、さよう心得よ。

 さぁ大変。宿屋の者は自分達が斬られたらたまらないと、3人を縛り上げます。

 先ほどまで威勢の良かった源兵衛さんは、真っ青になって、さっきの話は全くの口から出まかせ、まさか本当にそんなことがあるなんて思いもしなかった。だいいち、自分はケンカはからっきしで……なんて、半べそかきます。

 翌朝。店の者がどうなることかと恐る恐る、お侍を起こしに行きます。お侍は、さっぱりした顔で店の者に礼を言い、さっさと宿を出ようとします。店の者が、昨夜の源兵衛はいかがいたしましょうと尋ねると、お侍は、自分には弟などいないと言います。それじゃあ、昨夜の話は……と店の者が聞くと、

「あれぐらい申さんと、拙者が寝かせてもらえんからな」



2004年9月21日(火)23:19 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理


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