Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



2009年6月12日を表示

「梅雨」   杜甫

 名詩メルマガから珍しい漢詩が送られてきました。
 中国にも梅雨はあるようです。「梅雨」という漢字は中国から「梅雨(ばいう)」として伝わり、日本では江戸時代頃から「つゆ」と呼ばれるようになったようです。

<漢詩原文>
「梅雨」   杜甫
南京犀浦道
四月熟黄梅
湛湛長江去
冥冥細雨来
茅茨疎易濕
雲霧密難開
竟日蛟龍喜
盤渦與岸回

<読み下し文>
 梅雨(ばいう)杜甫
  南京犀浦(なんけいさいほ)*1の道
  四月の黄梅熟(じゅく)す
  湛湛(たんたん)として 長江去り
  冥冥(めいめい)として 細雨来(きた)る
  茅茨(ぼうし)*2は疎(そ)にして 湿(うるお)い安く
  雲霧(うんむ)は密(みつ)にして 開け難し
  竟日(きょうじつ)*3 蛟龍(こうりゅう)喜び
  盤渦(ばんか) 岸と回(めぐ)る

 *1南京犀浦(なんけいさいほ)南京は成都、犀浦は成都の県名。
 *2茅茨(ぼうし)茅(かや)ぶきの屋根
 *3竟日(きょうじつ)一日中
<通釈>
私の住む南京(成都)犀浦一帯は
4月になると梅の実が黄色く熟すようになる。
その頃、長江は水を満々と湛えて流れゆき、
暗い空からは細かな雨が鬱陶しく降って来る。
草堂の中は屋根の茅がまばらな為に湿っぽく、
外は雲のような霧が立ちこめて、なかなか晴れようともしない。
日がな喜んでいるのは水中の竜くらいなものだろう。
その証拠に水面に渦が巻き、岸に沿ってぐるぐる回っている。



2009年6月12日(金)23:42 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理


(1/1ページ)