「太平洋漂流実験50日」 |
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| 「太平洋漂流実験50日」 斉藤実著 依光隆画 フォア文庫
「コンチキ号漂流記」、 「大西洋漂流記76日間」、「ダイバー漂流」と、この所漂流物を読んでいます。
今回の漂流は、「コンチキ号漂流記」に似ていますが、崇高な目的があり4冊の中では一番とも言える物でした。
海の遭難では飢えや渇きのためだけでは無く、絶望による精神の混乱が死を早める。 だが、海水は遭難後5日程度であれば飲むことが可能だ。」と説き、自ら漂流実験を行ってその効果を示した仏人医師アラン・ボンバールの著作を読み、自らを実験台にした海水飲用実験など、万が一、遭難漂流しても海難遺族を出さない方法の究明と実証を行う決心しまた。
昭和50年10月7日、単独でサイパンから沖縄まで2ヶ月強に及ぶ、第四次漂流実験を開始しました。 食料はシイラやカワハギを釣り、飲み水は海水真水の混合液で、11月20日まで順調に航海を続けました。
沖縄本島まであと少しとなったところで、風速60mを超える超大型台風20号(ジェーン)の直撃を受けまた。 最後まであきらめず、生き抜くために徹夜で補修を行い、台風の只中に乗り込むこととなりました。波に叩かれ天幕は破れ、必死に排水作業を繰り返す中、大波を受け11月22日ヘノカッパⅡ世号は転覆。
いよいよ駄目かという時、11月25日午後5時、和歌山県那智勝浦港所属のマグロ延縄漁船「第五亀甲丸」に救助され、生還を果たしました。
感想 単なる冒険物ではありません。しっかりした計画と、海難事故に対する今後の改革を目指した最高の実験でした。 安全の為の実験ではないので、周到な用意にも拘わらず、もう少しで死ぬところでした。崇高な志に神が微笑んだのか、運良く助かったのでした。とても良い本の一つに挙げたいと思いました。
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2008年12月9日(火)22:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理
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