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2008年11月7日を表示

大西洋漂流76日間

 大西洋漂流76日間

 著者 スティーブン・キャラハン
 訳者 長辻象平
 出版社 早川書房

スティーブン・キャラハン Steven Callahan

 1952年、アメリカ、メイン州に生まれる。12歳からセーリングを始め、たちまちとりこになった。高校卒業以来、ヨット設計者として艇の設計・製作に携わり、また教えている。
 1982年、イギリスからカリブ海へ向かうミニ・トランザット・レースに参加したが難破、ゴム製救命イカダで76日間漂流するという、海洋史上でも希なサバイバル体験をした。それをまとめたものが本書である。
(本書より著者紹介文)

感想

 この世界ではよく知られた話で、海でのサバイバル教本としても有名です。技術より精神力なのです。

 76日間漂流というのは、常識では考えられない日数です。人は漂流した場合どれくらい耐えられるのでしょう。

 答えは3日なのです。海難者の90%は遭難から3日以内に亡くなってしまいます。食べ物も水も無くても、もう少しは生きられるはずなのです。多くの人は絶望感から亡くなってしまうのです。
 山での遭難も同様です。多くの人が絶望感と、恐怖心から亡くなることも多いのです。
 
 キャラハンは76日なのですから、驚く他はありません。尋常の精神力ではないのです。船が突然沈むときも、冷静に必要な物を出来るだけ船から回収し、ゴム製救命イカダに運び込もうとしています。あまり上手くいかなかったのですが・・・

 そのサバイバルぶりの中には、海水は飲んではいけないとか(実際は真水がないときは、5日以内で、海水を毎日800~900ml位は飲んでおいた方が良いのです)、魚の取り方などもう少しという面はありますが、何より強靭な精神力が素晴らしく、次から次へと起こる生死に関わる難題に、限られた材料で実に上手く対応しています。

 一番ビックリしたのは、ゴムボートの耐久性が40日なのです。その頃からボートから空気が抜けると言う普通なら死へのカウントダウンの恐怖にも打ち勝って、76日間耐えたのです。

 彼は鉛筆で作ったおもちゃのような六分儀と漂流速度から、自分の位置と陸地に着くまでの日数をかなり正確に割り出しています。この事が生きる勇気と希望を持たせています。

 「コンチキ号漂流記」とはまた違った素晴らしい本でした。
 



2008年11月7日(金)23:16 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理


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