六月二十七日、望湖楼酔書 |
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| 吟遊詩人/井上洸霊さんからのメルマガ 今回は有名な蘇軾の漢詩です。 この詩は杭州の西湖の辺にある望湖楼で酒を飲んでいた蘇軾が突然やってきた夕立の様を酔いの勢いを得て一気に書き上げたもの、と言われております。
六月二十七日、望湖楼酔書 蘇軾(北宋)
黒雲翻墨未遮山 黒雲 墨を翻して未だ山を遮らず
白雨跳珠乱入船 白雨 珠を跳らせ 乱れて船に入る
巻地風来忽吹散 地を巻き 風来りて 忽ち吹き散ず
望湖楼下水如天 望湖楼下 水 天の如し
<日本語読み>
ぼうころうすいしょ そ しょく
こくうん すみをひるがえして いまだ やまを さえぎらず はくう たまをおどらして みだれて ふねにはいる ちをまき かぜきたって たちまち ふきさんず ぼうころうか みず てんのごとし
<通釈>
墨をひっくり返したような真っ黒の雲が大空に広がり、その黒雲がまだ山を覆ってしまわない内に、早くも夕立が来て、まるで真珠の珠が乱れ跳ぶが如く、大粒の雨が激しく船板に打ち付けている。 すると今度は、突然大地を巻き上げんばかりの強風が吹いて、雲や雨を蹴散らした。 そして今はもう、この望湖楼の下の湖水は空の青と一つになって青々と澄み渡っている。
<鑑賞>
望湖楼という料亭で西湖を眺めながら飲んでいるところに、突然やっ て来た夕立の一部始終を見事に描写。
<蘇軾メモ>
1036~1101年、北宋の詩人。唐宋八家の一人。四川省の人。 東坡居士と号したので、蘇東坡(そとうば)とも呼ばれています。赤壁賦を詠んだことで有名です。 北宋の文章家/蘇洵の長男で弟が蘇轍、この親子3人は合わせて三蘇と称されている。20歳の時に親子共々都に出て進士に合格、その後各地の知事を歴任している。1101年、地方から都に帰る途中で病に倒れた。
蘇軾は儒教・仏教・道教の何れにも精通し、詩文はいうまでもなく書画も良くした、という天才。
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2012年7月12日(木)23:46 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理
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