Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



落語会

今日は噺家も二人でした。
演目は
 「子褒め」と「芝浜」でした。
あいにく仕事で遅れて、「芝浜」だけ聴きました。
なかなか良い出来で、好評でした。うるさい、いわゆる大向こうの人たちは、こういった人情噺は、滞りなくやれれば、上手に聴こえる演目だとも言っていました。まったくね~素直じゃないんだから(笑)
 私はとても上手いと思いました。どこかの襲名披露した人よりは、はるかに上と思いました。(これも皮肉か?)

芝浜
 勝五郎という魚屋の話です。彼が魚河岸で選んでくる魚は新鮮で評判良かったのですが、彼は、酒が好きで怠け者でした。そんな彼が、奥さんにうるさく言われ、魚河岸に朝早く行って、財布を拾います。中には二分銀で42両もの大金が入っていました。家に飛んで帰って、奥さんに報告し、ほっとしたのとお金があるという安心感から、お酒を飲んで寝てしまいます。
 
 すぐに起こされて、奥さんが「働きに行け」と言います。なにいってんだい、42両のお金を拾ったじゃないか。あれがあればしばらく寝て暮らせると男が言うと、奥さんはあきれた顔をして、
「寝ぼけたことを言ってんじゃないよ。情けないねぇ。いくら貧乏だからって、そんな夢を見るなんて。お前さん、しっかりしとくれよ。」 などと言われて、男は心を入れ替え、大好きな酒も断ち、仕事に精を出すようになります。3年も経つと、小さいながらも表通りに店を構えるようになり、若い者の2、3人も使うまでになります。
 その3年目の大晦日。奥さんが、改まった顔をして古い財布を男の前に差し出します。
 
  「お前さん、この財布に見覚えがあるでしょう。中には42両入っています。3年前、あんたが芝の浜で拾ってきたときには、弱ったことになったなぁ、あんたのことだから、こんなにお金があったら、明日から働かないだろうなと思っていたら、あんたがお酒を飲んで寝てくれたので、大家さんに相談して、お奉行所にお金を届けて、お前さんには夢だと押し付けたら、好きなお酒もやめて一生懸命働いてくれるようになって。このお金もずいぶん前に落とし主がいないからといって、奉行所から戻ってきたんだけど、せっかくお前さんが真面目に働くようになったのに、こんなものを見せて、またお酒でも飲まれたらと、心を鬼にして今日まで黙っていました。幸い、お店も順調で、もうお前さんがお酒を飲んで少しぐらい怠けても、お得意さんに迷惑をかけることもないだろうし、そう思ってこのお金を見せて、今まであんたに嘘をついていたことをお詫びして……。腹が立つだろうねぇ。今まで連れ添う女房に嘘をつかれて……。今日は、あたしは覚悟を決めてますから、あんたが気にすむように、殴るなりなんなりしてください」
 
 十両盗めば首が飛ぶ時代でした。もし拾得物横領ともなれば、大変な罪だったのです。
 勝五郎は、妻に感謝します。気分直しにと、妻は夫にお酒を差し出します。3年ぶりのお酒。男は嬉しそうに杯を口元まで運びますが、
  「やめとこう。また夢になるといけない」

 元々は三遊亭円朝が即席三題話の「酔っぱらい」「芝浜」「革財布」で作ったものです。所がこの話には重大なミスがあります。

 本橋の魚河岸は、徳川家康が攝津の国西成郡佃、大和田両村の漁夫30名余を佃島に住まわせ、幕府に魚を供給させました。これが日本橋魚河岸の始まりです。

 この「芝浜」は日本橋の河岸より古く「雑魚場」(ざこば)と呼ばれ、江戸前(東京湾)の魚を主に扱い、獲れたばかりの小魚を扱っていました。ウナギ、アナゴ、シャコ、アジ、海老、蛤、アサリ等多くの魚貝類が商われました。江戸っ子は新鮮な江戸前ものを「芝肴」(しばさかな)として珍重しました。

 しかしこの「雑魚場」は、昼に水揚げされた小魚をその日の夕方から始まる河岸で取引され、「夕河岸」とも呼ばれていました。日本橋の河岸の様に早朝からは商われませんでした。
 ですから即席話で創られたときの河岸は早朝という誤解がありました。勝五郎が朝早く行けば河岸は開いては居ませんでした。
  
 1609年スペイン人のドン・ロドリゴ書いた「日本見聞録」に、この河岸の話が出ています。現在のJR田町駅前からそう遠くない鹿島神社の境内に「芝浜噺子の碑」があります。その先の芝浦公園が、この話の魚河岸でした。



2006年2月21日(火)23:27 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理

コメントを書く
題 名
内 容
投稿者
URL
メール
添付画像
オプション
スマイル文字の自動変換
プレビュー

確認コード    
画像と同じ内容を半角英数字で入力してください。
読みにくい場合はページをリロードしてください。
         
コメントはありません。


(1/1ページ)