Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



「霧の中の風景」

「霧の中の風景」 1988年 (ギリシャ)
監督/テオ・アンゲロプロス 
出演/ミカリス・ゼーケ(アレクサンドロス)
   タニア・パライオログウ(ヴーラ)

変わった映画です。映像的にはショックを受けました。
クローズアップの少ない映像が淡々と続きます。空はいつも曇り空、詩的な映像が素晴らしい。

    物語は姉弟の父親探しの「旅物語」です。奇妙なのは始めからドイツにいると言う父親の存在が無いということです。この姉弟は私生児で、本人たちも父親は居ないと知っているのだが、居心地の悪い母親の元から、家出して、ドイツに居るという父親に会いに、本当に会えるという当ても無い旅をします。

     旅の中で、二人は実にいろんなことに遭遇します。弟のアレクサンドルは動作も実に子供っぽく、見事に描写されていました。「おなかが空いた」とお金が無いのにレストランの店主に訴えるシーンは、特に印象的でした。姉のヴーラはヒッチハイクしたトラックの運転手に暴行を受けたりします。そのシーンも淡々と描かれます。観ていて耐え難いシーンですが、お構いなく物語は進みます。バイクの青年に恋をしたり、危うく売春しそうになったりします。どうにかこうにか、ドイツにたどり着き、最後は絵のような、霧の中で一本の木が生えている風景で、聖書の言葉と共にラストとなります。

    旅芸人の一座との出会い、そしてその一座の解散、死にそうな馬や、海から巨大な手の彫刻が出てくるシーンは何の説明も無く、象徴的に表現されています。説明がまったく無いので、実際には何のことかわかりません。社会主義の瓦解を表しているのでしょうか?国境の問題も大きなテーマのようです。この辺はヨーロッパの国境問題、ベルリンの壁崩壊の前のことですので、そういったことに対する実感が無い日本人には、理解は出来ても、共感が得にくいところです。

    皆が喜ぶような、興行的に成功することを第一義に考えたアメリカ映画とは、まったく対極にある作品です。とにかく映像の美しさは群を抜いています。子供たちの描写も素晴らしい。ただもう少し解りやすくしないと、観ているほうは大変!



2005年9月3日(土)23:34 | トラックバック(1) | コメント(0) | 映画  ドラマ TV | 管理

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