山本周五郎の短編集を読んで。 |
|
| やはり戦前の生まれなのかなと感じました。特に女性は正妻で、男性経験がないなどを大事にしている古い感性が随所に見えます。明治時代からの清純、貞節を称えるような描写が多々あります。
実際には江戸時代は、武家以外は現代以上に性に対してとてもおおらかでした。江戸時代の女性はほぼ全員一度は結婚しましたが、離婚はとても多く、再婚、再々婚もとても多かったのです。
さらに驚くことに、あこがれの職業は少し器量がよければ、御妾さん(愛人契約)になることでした。再婚して苦労するより、ずっと気楽な生活が送れるからでした。そんな人も歳になったら、小唄や、三味線を教えたりしてのんびり暮らしました。
また武士の家では、武士としての体面を保つため付き合いは決して節約できない仕組みで、禄高の少ない武士はとても質素な暮らしをしていました。禄高の多い武士も、禄高に見合った家来、奉公人を持たねばならず、家庭は質素でした。
時代が進むにつれ、米で支給される給与は年々価格が下がっていき、殆どの武士が節約しないと暮らせないようになっていきました。
これが江戸時代の実態です。特に江戸では圧倒的に男性が多く、女性はとても威張っていました。もちろんこんなリアルな時代劇小説を書いたのでは、ヒットしません。しかしあまりにも山本周五郎の作品は昔の、主として明治期の道徳観念に強く支配されている感が否めません。
| |
|
2018年3月28日(水)22:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理
|