Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



月波楼

 現代では月見はそれほど盛んではありませんが、昔は貴族の間ではとても重要なことでした。

 代表は桂離宮です。古書院や月波楼の東側には、突きだした月見台があります。笑意軒には浮月の手水鉢があります。松琴亭の茶室には月見窓があります。

 月の出る頃を一番大事に考えていました。そのため月見台など全て東向きに作られています。特に月波楼は月を見るための建物です。その月を直接見るより池に映った月を見ることに重点が置かれました。

 名前も白楽天の漢詩から取られています。この漢詩の「月点波心一顆珠
(月は はしんに点ず いっかのたま)」の句です。

 「春題湖上」、白楽天
湖上春来似画図 (湖上 春来たれば がとに にたり)
乱峰囲繞水平舖 (らんぽう いじょうして 水たいらかに しく)
松排山面千重翠 (松は さんめんに はいす せんちょうのみどり)
月点波心一顆珠 (月は はしんに点ず いっかのたま)
碧毯線頭抽早稲 (へきたんのせんとうは そうとうをひき)
青羅裙帯展新蒲 (せいらのくんたいは しんぽをのぶ)
未能抛得杭州去 (未だ 杭州を なげうち えて さる あたわず)
一半勾留是此湖 (いっぱん こうりゅうするは これ この湖)

訳は

西湖に春が来れば それは まるで絵のように美しい
不揃いにそびえたつ峰々に囲まれて 湖面は 波もなく 平らである。
山の側面には 松が列になって生え、幾重にも緑を重ね
月がさざなみの中心に 一粒の真珠のように映っている。
緑の絨毯の毛先に見えるのは 早稲の発芽した穂先
青いうすぎぬの 裳裾と帯に見えるのは 蒲の新芽の広がりである。
いまだ この杭州の地を投げ捨てて 去ることができないのは
とどめている半分は 美しいこの湖にあるのだ
 
 現代のように照明がなかった頃は、月明かりは貴重な光でした。 天文学的にも地球に対して衛星である月は大きすぎると言われています。そのため重量が強く働き潮の満ち引きが起こります。



2017年10月6日(金)20:26 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理

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