Cat Schroedinger の 部屋
 
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柘榴坂の仇討

監督: 若松節朗
出演: 中井貴一 阿部寛 広末涼子 中村吉右衛門 高嶋政宏 堂珍嘉邦 藤竜也

あらすじ:
 桜田門外の変での失態で、逃亡中の水戸藩士暗殺を命じられた志村金吾は、妻のせつとふたり明治維新後も極貧生活に耐えつつ捜索を続けている。ある日、司法省の秋元から襲撃隊最後の生き残り佐橋十兵衛の情報を与えられる。

 やがて金吾は、井伊を討った水戸藩浪士の最後のひとりで、車引きの直吉と名を変えて生きていた佐橋十兵衛を見つけ出すが、その日、明治政府が仇討ち禁止令を発する。
 車夫となった十兵衛を見つけた金吾は、彼もまた同じように不名誉な“事件後”を引きずっていたと聞かされる。


感想:
 彦根城の資料などで桜田門外の変については、一応知っていました。襲撃した殆どの浪士は自害か、その後捕らえられ斬首になっています。映画の中で語られるような切腹ではありませんでした。

 襲われた井伊家でも、死亡者の家は存続されましたが、重傷者は減知、軽傷者は切腹、無傷や逃げた者は斬首になりました。

 供頭は直訴の者を取り押さえようとしたとたんに斬りつけられ、即死しています。この映画では銃声が遅すぎます。実際にはその直後駕籠めがけてピストルが発射され、直弼は腰部から太腿にかけて銃創を負い動けなくなりました。このピストルが合図で、浪士達が一斉に襲いかかりました。

 襲撃の戦闘に参加した16名のうち,1名が闘死、4名が自刃、8名が自訴しました。残る3名は大きな負傷なく現場を脱し、戦闘不参加の関鉄之介・岡部三十郎と共に計画通り京を目指しました。しかし幕府の探索が厳しく、増子金八と海後磋磯之介の2名だけが潜伏して明治時代まで生き延びました。

 この映画の一番はなんと言っても、中井貴一を主役にしたことでしょう。実生活でも生真面目な雰囲気の彼は、この役にぴったりです。時代遅れとなった武士を全く違和感なく演じきっていました。演技と言うより地と言えるほどでした。科白以上に所作に至るまで、素晴らしい出来映えでした。武士という者はそのようであったと思わせるリアリティーがありました。

 別に下手ではないけれど、広末涼子の日本髪は個人的には好きになれませんでした。所作も変に現代的で、しっくり来ませんでした。

 手を取り合って歩くラストのシーンは、いただけません。当時の常識として妻は後ろを歩くものです。過剰な演出です。

 阿部寛はどんな役でも見事にこなし、いつも感心させられます。

 メチャメチャな時代劇が多くなった昨今、地味ですが、本格的な良い時代劇でした。



2014年9月29日(月)23:23 | トラックバック(0) | コメント(0) | 映画  ドラマ TV | 管理

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