秋の漢詩 |
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| 昨日の歌も名句ですが、万葉集の「防人の歌」と通じるこの歌を紹介します。
「子夜呉歌」 李白
長安一片月 万戸擣衣声 秋風吹不尽 総是玉関情 何日平胡虜 良人罷遠征
読み: 長安(ちょうあん)一片の月 万戸(ばんこ)衣(ころも)を擣(打)つの声 秋風(しゅうふう)吹きて尽(つ)くさず すべてこれ玉関(ぎょくかん)の情 何(いずれ)の日にか胡虜(こりょ)を平(たい)らげ 良人(りょうじん)遠征(えんせい)を罷(や)めん
意味: 「子夜」とは女性の歎きの歌 長安(唐の都)を照らす月明かりの下 どの家からも衣を打つ砧*(きぬた)の音が聞こえてくる 秋風は吹いてやまず 彼女たちは遠くの玉門関*(ぎょくもんかん)で戦う夫の身を案じているのだ 一体いつになったら、胡虜*(こりょ)を平らげてあの人は帰って来るのでしょう。
*砧を打つ:つやを出すため布を木の槌(つち)で打つこと。当時の冬支度で秋の風景。 *玉門関:敦煌の北西にあった関所。この関所の南にあるのが陽関です。共に国の西端で、ここを過ぎると異境の地でした。多くの歌に残されています。 *胡虜:匈奴(きょうど)北方の遊牧民族
この漢詩は、万葉集の「防人の歌」と通じるところがあります。一片の月は半月で、離れ離れになっていることを暗示しています。
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2011年9月30日(金)21:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理
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