Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



今日は落語会でした。

今日の演目は、「置き泥」 「大工調べ」の二題でした。

どちらも貧乏なお話です。

「大工調べ」

 大工が家賃を払わないので、大家さんに商売道具の道具箱を、家賃代わりに差し押さえられてしまっています。
仕事があるからと来た棟梁が、道具がないのでは仕事が出来ないから、払ってやることにします。

 ためた家賃が、1両2分と800文、あいにく1両2分しか持ち合わせがないけど、たった800文だから後でお願いします。このたった8000文という言い方に大家がへそを曲げ、耳をそろえて払うまで道具箱を返さないと、大喧嘩になります。

 最後は裁判沙汰になります。大岡様の裁きは、大工の手間賃20日で、銀200匁の支払いを大家に命じます。
 
 落ちは、大岡様が大屋をやり込めた後で、「さすが大工は棟梁(細工は流々)、調べ(仕上げ)はごろうじろ」


 実はこの話には少し変なところがあります。当時の店賃と言えば、独り者が住んでる長屋など時代にもよりますが、一月300文からせいぜい5~600文くらいでした。とても安かったのです。

 1両と言えば時代にもよりますが、6000文です。1両2分ですと9000文です。4ヶ月払っていないで1両2分とはとてつもない高級な長屋に住んでいたことになします。

 「棒手振り」と呼ばれる、品物を担いで売る行商でも、日に4~500文の稼ぎにはなりました。

 一月1両あれば、親子三人楽に暮らせました。ですから「棒手振り」でも、一月に10日から15日も働けば大丈夫だったのです。

 大岡様の裁きでは、大工の手間賃は20日で、銀200匁です。銀60匁が1両です。銀200匁は20000文です。金に換算すると3両1分1朱位です。

 江戸は火事が多く、大工の仕事は幾らでもありました。大工は日当が良くて、一日おおよそ1000文~1500文(1分)です。つまり腕の良い大工なら4日で1両稼ぐことが出来ました。一月に4日働けば一応生活は出来ました。

 とにかく物価が安かったのです。「江戸っ子は宵越しの金を持たない」というのは、いつでも稼げる事もありました。

 家賃滞納は落語に良く出てくる話ですが、実際にはたった一日か二日の収入に値する金額でしたから、滞納はそれほど無かったと思われます。

 噺家さんと雑談の時、もちろん聞きました。(笑)よそでも突っ込まれたことがあるそうです。1両2分と800文は言葉の調子だそうです。 席亭が私のことを、うるさい客なんだからと笑っていました。

 はっきりと覚えてませんが、柳家小さん系は1両2分と800文ですが、1両と800文で演じられる事の方が多いかも?。

 落語ですからあまり詳細にするのは意味がありませんが、大岡 忠相が町奉行ですから、実際には時代は確定できます。

 1717年(享保2年)2月3日、普請奉行から江戸南町奉行に異動。越前守に転任。 1736年(元文元年)8月12日、南町奉行から寺社奉行に異動。つまりこの20年間の出来事です。
 



2006年9月26日(火)23:31 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理

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