「志ん朝」 の ちょっと良い話 |
|
| 落語が終わって、噺家さんを囲んでの雑談の中で、素晴らしい話を聞きました。
「古今亭志ん朝」の話です。 あるプロダクションが、歌舞伎座での独演会を頼みに来たそうです。
3日間で、1500万円という提示額だったそうです。どうしてそんなにギャラが出せるのかと聞くと、一人あたりの入場料が幾ら幾らで、会場費がどれだけで・・・だったそうです。「私はチケットは売れないよ!」というと、いいえこちらで簡単に裁けます。師匠はただ話しさえしてくだされば良いという。「それにしても・・」と言うと、大丈夫です、XX師匠の時も大丈夫だったのですから、ご心配なくという。
それを聞いて、XX師匠よりは人気も実力も遙かに上なのですし、その頃師匠は家を新築したばかりで、お金はのどから手が出るほど欲しかったに違いないのです。
なのに「私の芸はそんなところで話せるほどの物ではないので・・」と、断られたそうです。
これは「志ん朝」師匠本人から聞いた話だそうです。
きっと自分の芸がまだまだ未熟だと、思っていたのでしょう。それにそんなお金での仕事を受けると、自分の芸が乱れると思ったのでしょう。
「志ん朝」師匠は、気に入れば安い出演料でも小さな落語会に出てくれたそうです。一度この会にも呼ぼうと言っていたのですが・・・ CDを出したときも、まだまだそれほどの芸ではないと思っておりますが・・などのコメントがありました。
自分で満足と思えば、そこで成長は止まります。最後まで落語に対して真摯な方であったようです。 若い頃はとてもうまかった噺家が、テレビに出すぎで、まともな落語が出来ないのは仕方ないのかもしれません。良いとか悪いとかではありません。今更稲荷町の師匠のように、長屋に住めと言うのではありませんが、落語だけはまともに話せる人も残って行って欲しいと思っています。
凄い家に住んでも良い、ピストル買っても良い・・・これはいけないか(笑) とにかく早すぎた「志ん朝」でした。
| |
|
2006年5月25日(木)15:59 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理
|