Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



落語会

 今日の演題は、「紀州」と「花筏」でした。雨なのに、お客の入りも30人くらいでちょうど良い感じでした。

 「紀州」(きしゅう)

 七代将軍が短命で、跡継ぎがいないので御三家の中から次の将軍を選ぶことになりました。本命である尾張公と、対抗馬である紀州公のどちらかと言うことになりました。

 八代将軍を決める朝のこと。屋敷を出て鍛冶屋の前を通りかかると、「トンテンカン、トンテンカン」という音がしています。
尾州公には鍛冶屋の打つ槌の音が、「天下とる、天下とる。」と聞えました。縁起が良いと喜んでいく。

 しかし、うっかり一度遠慮し辞退を口にしたため、将軍職を紀州公にとられてしまいます。がっかりして城を出て来たが、鍛冶屋の槌の音はやはり「天下とる。」聞える。

 「紀州は城では将軍を受けあったが、きっと尾州公よろしく頼むと、使者をもって頼みに来るであろう」と、鍛冶の店の音が、相変わらず「天下とる、天下とる。」と聞こえます。

 その時鍛冶屋の親方が、まっ赤に焼けた鉄を水にズブリと差し込んだ。
        「きしゅうー!」

 とまあ、たわいない話です。とても短いので、枕にいろいろな話をして、軽い一席でした。こういった話は調子が大事で、なかなか見事な出来栄えでした。


 「花筏(はないかだ)」

 この話もそれほど長い話ではないので、当時の相撲取りの話などを枕にしていました。

 寛政の3人の人気力士である、谷風、小野川、雷電の紹介と、轍に入って動けなくなった、米俵を手助けした三人力士の人となりを表す逸話でした。

 銚子で勧進相撲を請け負った親方ですが、人気力士の大関「花筏」が病気となり、連れて行けなくなりました。なんと言っても看板ですから、大弱りです。一計を案じ、「花筏」にそっくりな提灯屋に頼み込んで、替え玉とすることにしました。

 相撲部屋の親方にうまく丸め込まれて、提灯屋が病に倒れた大関「花筏」の代わりに、酒と日に二分の手当てを条件に地方巡業の相撲に行きました。大変なお金です。

 江戸から花筏が来たというので大変な人気。しかし、提灯屋は花筏と似ているだけで、相撲はまるっきり素人。花筏のふりをして、毎日酒を飲んで、土俵の下で相撲を見ているだけでした。

 土地の千鳥ヶ浜という素人が、本職を投げ飛ばし勝ち続けて、いよいよ千秋楽を迎えました。本職が負けているのだから、どうしても相撲部屋のスターである「花筏」が出ないと格好が付かないことになってきました。

 勧進元は、ぜひ「花筏」と「千鳥ヶ浜」を結びの一番で相撲を取らせて欲しいと頼み込む。病気だと言って断ろうとするが、毎日大酒飲んでるようで、病気には見えないなどと言われ、断りきれない親方は承知してしまいます。

 提灯屋は、相撲を取らないで良いという約束だったので、これに驚き逃げようとしますが、親方が「しりもちをつくだけでいい。土地のものを勝たせてやり、相手に花を持たせてやれば、病気なんだし、丸く収まる。お前の体も無事だ。」と説得されて土俵に上がる。

 一方、千鳥ヶ浜の父親は心配して、
「相手は大関だ。若い衆を負かした敵討ちだ。懲らしめのために手ひどく投げられるぞ。良くて片端(かたわ)、どうかすると投げ殺されるぞ!土俵に上がるなら勘当だ。」と意見をし、土俵に上がらない約束をする。

 当日、相撲が好きな千鳥ケ浜は、観にだけ行きますが、その場の雰囲気で父親との約束を破って土俵に上がる。

 ところが、ビビッテいる提灯屋が土俵の上で念仏をとなえているのでびっくり。
「おれを投げ殺すつもりだ。」と、怖くなり自分も念仏を唱える。両方で念仏を唱えるので驚く行司。

 立ち上がった提灯屋は、死にもの狂いで張り手をやった。千鳥ヶ浜は不意を食らって引っくり返る。提灯屋は、しりもちつこうとして、相手を見ると先に倒れている。

 これを見ていた見物人が、さすが本物の相撲取り「花筏は張るのが上手い。」とやんやの喝采。

 はるのがうまい。うまいわけだ。提灯屋です。

 親方の言葉使いを、大阪弁で演じられました。
後から聞いたら、習った話では東京弁でしたが、「円生」さんのテープでは大阪弁だったので、どっしりとした感じを出すために、あえて大阪弁で演じたそうです。

 テンポの良い話ですが、親方のどっしりとした話しぶりが、調子を変えていてとてもいい話でした。

 ちょうど私の隣の席の方が、本物の提灯屋でした。「当時でも結構職人は良い給金取ってたんですね!」と聞いたら、元々提灯は高い物だそうです。でも今は需要がないから、儲からないと言っていました。

「話を聞いていて、提灯屋、提灯屋と言われて落ち着かなかったよ。」とみんなを笑わせました。その後提灯の作り方などの話も出ました。



2006年5月23日(火)23:02 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理

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