Cat Schroedinger の 部屋
 
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「博士の愛した数式」 その2

出版社/著者からの内容紹介
記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。頻出する高度な数学的事実の引用が、情緒あふれる物語のトーンを静かに引き締め整える。著者最高傑作の呼び声高い1冊。

あらすじと感想
 主人公は10歳の私生児を持つ家政婦で、年老いた元大学教授の家に派遣されます。その老人は天才的な数学者でしたが、交通事故に遭いそれ以来、80分しか記憶を維持することができなくなっていました。数字にしか興味を示さない彼とのやり取りはとても大変で、昨日のことは全て忘れてしまう彼は、毎日始めて会う人に対するように、同じ質問から始まるのでした。それでも彼は服にいろんなメモをつけていて、何とか日常生活に対応しようとしていました。

 そのうち10歳になる息子との出会いをきっかけに、彼との関係は緊密になり、彼は、息子を「ルート」と名づけ、異常に可愛がります。主人公とルートは彼を「博士」と呼ぶようになります。
父親を知らないルートも博士の愛情に答え、偶然にも二人は阪神ファンであり、実に良いコンビとなりました。博士の数学の講義は、単なる算数でなくて、数学のセンスをルートに教えました。この二人の愛は奇妙な関係の中で、素晴らしく描かれています。実に感動的です。

 ちょっとした誤解からいざこざが起きます。そのとき博士は eiπ + 1 = 0 オイラーの公式(厳密にははオイラーの等式)を示します。
  
 この式は、全く起源の異なる重要な2定数、円周率(π)と、自然対数の底として表されるネピア数(e)が、 極めて基本的な数、0, 1, i によって結びついている非常に重要な等式で、 この予想外の調和・連関を明らかにすることから、オイラーの等式は、"人類の至宝 " とも呼ばれる、博士も愛する公式でした。

 この式で、博士の義理の姉との和解が出来るのです。義理の姉は、その公式の素晴らしさを、過って博士から聞いていたことを暗示します。

 話の中で、さまざまな数学的な話が出てきますが、数学には無知であった主人公はそれを算数でなく、博士からの一種のメッセージのように、あるいは芸術的な作品のように受け止めます。特殊な意思の疎通法なのでした。

 とても感動しました。良い本でした。

 私は少しだけ数学に知識があるばっかりに、残念な思いもしました。その話は・・・続く!



2005年11月25日(金)23:40 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理

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