Cat Schroedinger の 部屋
 
                        雑談の部屋です。
 



「薮入り」

今日はお盆です。お休みの店も多く、商店などはお盆に休みを取るところが多いようです。毎年この時期になると、もうずいぶん聴いていませんが、出っ歯の「金馬」の顔と、「薮入り」と言う話を思い出します。子供の頃家にも住み込みの人が何人かいました。もう当時、毎週日曜日は休みでしたが、やはり正月とお盆は特別で、里の親にお土産などを持たせたりしていたようです。

昔は、お盆は正月と同様に、大切な日でした。江戸時代は大きな商店には、丁稚奉公という制度があって、子供の頃田舎から出てきて、住み込みで働きます。始めの1~2年は里心がつくといって、里には返さないのが普通で、勤め始めてから2~3年目に正月と、お盆の頃休みが貰えて、里に帰ります。これを「薮入り」と言いました。本来は、嫁や婿が実家に帰る日を言いました。

一年でこの二回だけが里に帰れる日でした。今なら労働基準法違反で労働基準監督署の査察が入りますが、当時はそれが普通でした。やがて出世すると、番頭となって、功績が認められると、暖簾分けといって、独り立ちして、店を持つことも出来ました。

この薮入りの話が落語にあります。げらげら笑う話ではありませんし、今の時代にはまったくマッチしていませんが、親子の情を実にたくみに語る良い話です。ややもすると、泥臭くなる話を、江戸っ子の荒っぽい父親が、子供を思う気持ちを演じるのがとても難しい話です。

奉公に出ている亀吉が薮入りで帰ってくる。心待ちにしていた父親は、亀吉の好物を喰切れないほど作ってやれとか、回り切れないほどの場所に連れていってやると大張り切り。翌朝、掃除をしながら待っているところに、亀吉が帰ってくる。立派になった亀吉に感心し、湯屋に行かせる。その間に亀吉の荷物を見てみると、小僧には不釣り合いの15円の金が出てくる。何か悪事をしたに違いないと、息子が湯から帰って来ると親父さんはいきなり殴ってしまう。
  泣き出す息子を母親がなだめて訳を聞くと、ネズミを捕まえては交番に持って行き、懸賞に当たってもらったお金をコツコツと貯め、今日は薮入りと言う事で主人に預けておいたお金を主人から頂いて親孝行しようと持って帰ってきたのだ、と聞いて両親は感動して
 「これからも ご主人さんを大切にしろ、これもやっぱりチュウ(忠)のおかげ!」で下げになります。

この話はなんと言っても、三代目 三遊亭金馬(1894~1964)の十八番でした。子供の出てくる話を得意としていて、有名なところでは、酔っ払いが店の店員に無理難題言って困らせる「居酒屋」や、ませた子供がお金を見たこと無いそぶりをし、お雛様の刀の鍔(つば)かなと、演技する「雛鍔」などがあります。



2005年8月15日(月)20:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理

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