Cat Schroedinger の 部屋
 
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2014年9月3日を表示

藤沢周平の短編は殆ど

 5月末から藤沢周平の短編物を読んでいました。6月末にはかなり沢山読みましたが、さらに買い込んで殆ど読み切りました。

 出版社の違いによりごく一部重複はありますが、短編物は殆ど網羅しました。著者は描写も上手く、市井の貧乏な職人、禄高の低いしがない武士などのにんじょう、武士の意地など巧みに描いています。

 江戸の街の詳細も丹念に調べてあり、そういった分野では破綻がありません。

 地方の城下町の話しは架空の藩で、架空だけれど地図のような物まで想定して書いてあります。

 著者は大衆小説家のため作品は多く、沢山読むと同じパターンが出てきたり、物語に直接必要ない描写があったりします。

 それと時代が書かれていないので自由ですが、一口に江戸時代と言っても、現在のように飲み屋で一杯等という外食の風習が起こったのは、文化文政の頃からです。
 
 金銭感覚も、疑問な表現が目立ちます。また武士と町人の境目も曖昧で、現代のサラリーマンのようにお城帰りにちょいと一杯など、考えられないことです。

 下級武士でも、登城、下城に供も無しに歩くことは稀です。武家の女性も供無しは、よほどのことでした。

 なによりも江戸時代は極めて平和で、殺人事件などは極めて稀でした。作品の中では斬り合いや、決闘が頻繁に出てきます。もちろんそのようなことは殆どありませんでした。

 武士も人を切ったことがある人は、殆ど無かったと言えます。剣道の稽古も、江戸中期を過ぎればまじめに稽古する人も殆ど無くなりました。チョコチョコット稽古に通って、いい加減な免状を貰っていました。

 旗本八万騎と言われ旗本は騎馬隊でしたが、幕末の騒動になって馬に乗れた旗本は殆どいなかったのが事実です。乗馬はとっくに廃れ、引き馬に乗っているだけでした。



2014年9月3日(水)22:26 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理


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