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2013年12月2日を表示

「熔ける」 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

「熔ける」

井川 意高 (著)

内容紹介:

カジノに入れ込み、注ぎ込んだカネの総額106億8000万円。
一部上場企業・大王製紙創業家に生まれ、会長の職にありながら、
なぜ男は子会社から莫大な資金を借り入れ、カネの沼にはまり込んだのか。
その代償として、塀の中に堕ちた男の懺悔がここに――。

著者について:

1964年、京都府生まれ。東京大学法学部卒業後、87年に大王製紙に入社。
三島工場次長、常務取締役、専務取締役、副社長を歴任。
07年より大王製紙取締役社長になる。
同会長を務めていた2010年から11年にかけ、カジノでの使用目的で子会社から総額106億8000万円もの資金を借り入れた事実が発覚。
会長職を辞任した後の2011年11月、会社法違反(特別背任)の容疑で東京地検特捜部に逮捕される。
2013年6月、最高裁にて上告が棄却され、懲役4年の実刑判決が確定した。

感想:
 著者は優等生で、高学歴です。幼い頃から厳しく育てられ、とても冷静できちんとした計算が出来る人です。

 大赤字の会社を建て直した能力には目を見張る物があります。
 
 彼はさほど贅沢に育てられたとは言い切れないけれど、金銭感覚は無かったようです。厳しい親も直接高額なこずかいを渡してはいなかったけれど、子供の頃から庶民には考えられないような店に出入りしていました。

 彼の記述に依れば、豪華な生活もさほど楽しくは書かれていません。何よりギャンブルのスリルに夢中になったようです。

 たぶん豪華な生活は彼にとっては、やっと手に入れた物ではなく当たり前であり、一部は仕事のようでもあったようです。何となくですが、心許せる良い友達などが少なく、孤独感がそうさた面も伺えます。

 どうしてそこまで使い込んだかと言えば、それだけ資産があったからです。自分の小遣いでやっている限りは、無くなったらおしまいのはずでした。

 お金を自由に出来るオーナー社長の悲劇です。文中に出てくる、ジャンケットのK氏、ギャンブル会社の罠のような仕組みにはまったとしか言えません。

 普通人のカード破産と同じような感覚です。規模が大きかっただけです。

 彼自身が言っているように、ギャンブル依存症でした。更にアルコール依存症と抑鬱状態でもありました。病気だったといえます。

 日本でもカジノが解禁されるかもしれません。遊びという方が殆どでしょうが、中にはこのようになる人がいることは大変な問題です。

 



2013年12月2日(月)23:29 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理


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