現代美術 |
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| 先日現代絵画について話したとき、その方は写実的な美術の支持者で、全く現代アートを認めようとしません。
ふと思いつき陶器の美しさについて話すと、すんなり織部の沓茶碗の美しさは十分理解できるのです。
「おおよそ茶碗などは、綺麗な絵が描いてあれば外国の人には綺麗でしょう。備前の灰かぶりだって、外国の人から見れば焼きそこ無いでしょう。ところが我々日本人は幸運にも、焼き物についてはコンセプチュアル‐アート*が理解できるのですよ。」
「焼き物は判る、でも絵画は・・・・」反論しようとしましたが、何とか認めて貰いました。
我ながら良い例を思いついたものです。
確かに陶磁器の中でも、「陶器」いわゆる「土物」は外国人には全く駄目です。本当に理解できる人は極々少ないのです。日本人なら殆どの人が、「土物」を何の抵抗もなく理解できます。
庭園様式については、多くの外国人は理解できるようです。ベルサイユ宮殿のようなシンメトリックの庭園も美しいけれど、日本庭園の美しさはコンセプチュアル‐アートとして、更にインスタレーション*としても十分認められます。 多分ヨーロッパ庭園より優れていると認められるようです。 桂離宮を見て、ブルーノ・タウト*が「泣きたくなるほど美しい」と絶賛したのは有名な話です。
まさに茶道の世界では、現代アートを400年も前に確立し、普遍化していたのです。けれども、個人的には現代アートが馬鹿馬鹿しいほど高い値段で取引されるのには、納得していません。共感出来る人が好きで買うべきだと思っています。ピカソだから、利休の道具だからと名前だけで、べらぼうな値段が付くのには、反感を覚えます。
*コンセプチュアル‐アート:視覚的側面よりも観念的側面を強調し、言語・図表・写真・パフォーマンスなどによって多彩な表現を行う。概念芸術。
*インスタレーション:さまざまな物体・道具を配置してある状況を設定し、その展示空間全体を作品とする手法。
*ブルーノ・タウト(1880年5月4日-1938年12月24日)は、ドイツの東プロイセン・ケーニヒスベルク生まれの建築家
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2009年8月19日(水)23:42 | トラックバック(0) | コメント(0) | 陶芸 | 管理
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