Cat Schroedinger の 部屋
 
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2009年10月5日を表示

囲碁ソフト 「天頂の囲碁」

 『天頂の囲碁』コンピュータ思考エンジン「Zen(ゼン)」を搭載した囲碁ソフトが話題になっています。

 日本の一般的な基準でアマ三~四段くらいに相当します。他のソフトを大きく引き離す強さを実現しているそうです。

 囲碁は、2人対戦の思考ゲームの中で最も複雑なゲームといわれています。

 人対ソフトの対戦で、チェスが10年以上前に世界チャンピオンに勝利したり、将棋がアマチュアのトップレベルの実力に達したりしているのに対し、囲碁の対局ソフトは長きにわたって、初中級レベルの力しか持ち合わせていませんでした。

 しかしながら、2006年にモンテカルロ法という、囲碁プログラムに確率を重視した画期的な技法が取り入れられたことから大きく棋力が進歩しました。モンテカルロ法を取り入れたソフトの中でもこのソフトは圧倒的な実力を誇り、初中級者だけでなく、従来、相手になりえなかった高段者の練習相手にも最適な囲碁ソフトのようです。

 囲碁は部分的に勝利しても、必ずしも全局的に有利になるとは限りません。囲碁独特の戦い方に、「捨てる」と言う高度な戦術があります。

 陣地を囲うのが目的ですが、石を取ったり取られたリする戦いがあります。この戦いでわざと取られに行くのです。取る方は取るために石を詰めるのですが、そのため回りが相手の石で締め付けられて、結局取られた方が有利になることが幾らでもあります。

 特に高段者の対局では、相手の石を攻めることはあっても、本気で取りに行くことは希です。うっかり取りに行くと捨てられてしまって、大局的に遅れを取ってしまいます。「石を捨てられるようになったら、高段者」とさえ言われます。

 19路X19路と盤面も大きく、コンピュータで計算しようにも、何処に打っても良いのですから、計算が膨大になります。更にその打った手を評価することは、序盤では殆ど不可能です。ですから従来までの全ての手を試みて評価する方法では、実力のあるソフトは開発できませんでした。

 つまりコンピュータは計算し尽くせない物は苦手だったのです。大局観はコンピュータには無理でした。以前「宇宙流」で名高い武宮 正樹 九段が、チェスや将棋は人間が作ったゲームですが、囲碁は神様が作ったゲームだから、コンピュータでは計算出来ないのですと言っていました。所がモンテカルロ法は選んだ手を展開し、確率的に良い手になる物を選択するのです。
 この一手という場合もありますが、実際高段者でも読み切るのではなくて、ここら辺りとか、感じの手という一手があります。またこのソフトは不利と見ると、やや無理な勝負の手なども打つそうです。

 高段者程度になるには20年から30年以上かかると思われていた囲碁のソフトは、この方法で急激に強くなりそうです。あと数年で人間が勝てなくなるかも知れません。



2009年10月5日(月)23:40 | トラックバック(0) | コメント(0) | 今日の出来事 | 管理


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