秋の漢詩 |
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| 吟遊詩人/井上洸霊さんから送られてきた漢詩が素晴らしいので、紹介
秋夜丘二十二員外に寄す 韋 應物
君を懐うて秋夜に属す 散歩涼天に詠ず 山空しゅうして松子落つ 幽人応に未だ眠らざるべし
<読み方>
しゅうや きゅう にじゅうに いんがいに よす い おうぶつ
きみを おもうて しゅうやに しょくす さんぽ りょうてんに えいず やま むなしゅうして しょうし おつ ゆうじん まさに いまだ ねむらざるべし
<漢詩原文>
秋夜寄丘二十二員外 韋應物
懐君属秋夜 散歩詠涼天 山空松子落 幽人応未眠
<語句の解説>
寄・・・・・・ 手紙を出す、の意。 丘二十二・・・ 丘家の二十二男、の意。 員外・・・・・ 定員外で補充された役人、の意。 属・・・・・・ ちょうど今、おりしも、の意。 涼天・・・・・ 涼しい秋の季節、の意。 山空・・・・・ 葉も散り人影もない寂しい山、の意。 松子・・・・・ 松かさ、の意。、 幽人・・・・・ 人里離れて静かに暮らす人、の意。 応・・・・・・ きっと・・・のだろう、の意。
<通釈> 秋の夜に、丁度君のことを懐かしく思い浮かべているところだ。 僕の方は涼しい日には散歩して好きな詩を詠じたりしているよ。 葉もすっかり落ちて人気もなくなった山に、ただカサっと松かさ の落ちる音だけが聞こえている。今頃は、山中にひっそり暮らす 君もきっと眠れずに起きていることだろうな。
<韋應物メモ> 中唐の詩人。737~804年。現・陝西省西安市の人。 自然を詠う詩に巧みで、特に自然の静けさや穏やかさを主題とする 詩に秀でている。盛唐の孟浩然や王維を受け継ぐとされ、柳宗元も 一括して”王孟韋柳”と並称される。 <鑑賞> これから日毎にそんな季節となります。 「山空松子落」し~んと静まり返った山中に、ただ松かさの落ちる音 だけが・・・いかにも韋應物らしい巧みな趣向ですね。 山々は盛秋の紅葉から晩秋落葉の季節へと駆け足で移っていきます。 私たちも時には遠く離れた友人に思いを馳せたいものです。
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2008年9月26日(金)23:35 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理
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