志ん朝 の「船徳」 |
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| 先日寿司屋で食事していたら、若い方が落語の話をし始めました。最近はちょっとした落語ブームだそうです。 寿司屋の店主はもと「落ち研」の出身で、やたらと落語に詳しい。年に何回か落語家を呼んで、落語会を開催しています。 以前一度は古今亭志ん朝を呼ぼうと、言っていたのですが、あまりにも早すぎました。「残念だったね~~」などと・・・
ふと思い出して、以前鈴本で聞いた志ん朝の「船徳」の話をしました。若旦那の粋な姿や滑稽な様が実に似合っていて、一瞬にファンになったこと。落語は台本があるものの、一人で演じるものですから、どうしても演者の人間性が出てしまうこと。それに得意、不得意もあります。また似合う話、しっくり行かない話もあること。そんな話をしましたら、えらく納得されました。
志ん朝演じた徳兵衛の話を、今でも昨日のことのように覚えています。 お客:「あ~ッ、女将、居た居た。あんなとこから出て来たよ。お~いッ、何してんの?」 徳さん:「どぉも相済みませんでした」 お客:「相済みませんじゃないよ、船頭が客乗っけてどっか行ってちゃしょ~がねぇじゃねぇ~か、どこ行ってたんだよ?」
徳さん:「どぉも相済みません。今ちょいと髭当たってたもんですから」 お客:「色っぽい船頭だねぇ? まぁいいよ、この方がね。鼻水なんかズル、擦りながら行くより威勢がよくってさ。じゃ頼むよ」 徳さん:「へ、もぉあっしが来りゃグ~とも言わせませんから、任しといちください、へぇ。だいじょ~ぶでごござんす。」
徳さん:「んッ……、おッ……、よッ……、んッ……」 お客:「んッ? 見栄を切ってるよ。ひとつ頼むよ」
特にこの見栄を切る所の志ん朝は、実に様になっていました。本当に志ん朝は早すぎました。
「船徳」あらすじ 勘当された徳兵衛は船宿に居候。気紛れで、船頭になると云い出す。 「竿は三年、櫓は三月」ってんだが、浅草観音の四万六千日の賑わいで、他の船頭は出払ってしまった。そこへ客。女将は、生憎船頭が出払ってまして、と断るが・・・。そこにいる船頭にと、客は舟に乗って待っているが船頭の徳が来ない。「何やってたんだ」。「へい。髭をあたってまして・・・」。竿を突っ張っても舟が出ない。出ない訳だ、もやいを結んだまま。やっと出たかと思ったら、竿を流してしまった。舟が先へ進まず、グルグル回るやらで・・・。 徳は疲れて櫓を放り出してしまう。客はあきれ返って、舟から降りて水に入り、どうにか桟橋に上がる。徳に向かって、「大丈夫か~。俺達は行くよ~」。「待って下さ~い。船頭一人雇って下さ~い」
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2006年1月14日(土)23:49 | トラックバック(0) | コメント(0) | 落語 | 管理
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