Cat Schroedinger の 部屋
 
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2005年9月6日を表示

「永遠と一日」

「永遠と一日」
1998/ギリシャ=フランス=イタリア
監督:テオ・アンゲロプロス
主演 ブルーノ・ガンツ

   先日に引き続いて、テオ・アンゲロプロスの作品を観ました。じつは「ユリシーズの瞳」も、観かけたのですが、疲れていて途中で寝てしまいました。今回の作品は割りと解り易く、良い作品でした。

  物語は、北ギリシャの港町テサロニキの詩人で作家のアレクサンドレは、 不治の病に犯され、 もう余命が長くないことを自覚していました。
3年前に、 楽しかったけれど、それほど大事にもしなかった妻を失います。娘夫婦とはまったく上手くいかず、入院することになって、彼の愛犬さえ預かれないと言います。彼の思い入れの強い家も、娘夫婦は売ることにしたと言い出す始末です。


 彼は入院する前日に、 最後の旅に出ようと車を走らせた。その途上、 アルバニア系の難民の少年と出会い、 国境まで連れていこうとします。しかし、少年はこの老人に親しみを持ち、アレクサンドレから離れようとしない。さらに国境まで行くと、恐ろしい雰囲気と、少年からアルバニアの地雷原を歩いた話などを聞かされ、国に帰すことを諦めます。
    少年はさらに群れを成して、遠くの国に行くといいます。密入国者である少年達へのさまざまな迫害、そして少年の友人の死、それらは少年ではあるけれど、これからの厳しい旅を暗示しています。
     こんな奇妙な二人の一日が淡々と流れます。娘に託そうとした、妻の手紙の中の一通がアレクサンドレに妻と過ごした夏の日の一日を思い出させ、追憶の部分が、少年と過ごす現実の中で、時折幻想的に現れ、妻に対する愛に気づいたりします。
やがて別れの時、少年も、老人もこれからの先行きに対して、恐怖を確かめあいます。しかし少年はさらに前に進もうとし、外国に向かいます。そして老人も吹っ切れたように・・・

      やや長すぎる映画ですが、映像の美しさ、ロングショットの見事さは格別でした。
この映画でも国境問題、難民問題もひとつのテーマにはなっていますが、死を覚悟している老人と、これから厳しい旅をする少年の、老い、生きることの意味などを考えさせられる、とても良い作品でした。



2005年9月6日(火)23:44 | トラックバック(0) | コメント(0) | 映画  ドラマ TV | 管理


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