Cat Schroedinger の 部屋
 
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びんぼう自慢

「びんぼう自慢」古今亭志ん生:筑摩文庫
1977年に立風書房から刊行されたものだが、文庫本になったので購入。

 志ん生の自伝である。取材して、録音した物を本にした物。
 
 題のごとく恐ろしくびんぼうで、と言うか無頓着で驚く。しかしこの下地があって、彼の落語の中に出てくる庶民の、貧乏なのに生き生きとした生活ぶりの描写は、実に真に迫って素晴らしい。

 彼の落語での特徴は、話の中で随分乱暴者が出てきて面白いのだが、よくよく聞いていると、その乱暴者の周りの登場人物は、とても親切で優しかったり、常識人ばかりなのだ。それに乱暴者も意外と優しい面を持っている。現代の他人をあざ笑うような笑いと違って、実はとてもさわやかな笑いなのです。

 志ん生の言葉にこんなのがあった。「人の心のふれ合いてものは、暮らしのよしあしとは違いますねえ。お互いが理解しあって、助け合って、一緒になって笑ったり、泣いたりする。あたしなんぞ、いまでもあの時分の、なめくじ長屋の生活てえのが、とってもなつかしく思い出されてきますよ。」
 
 この時代にはまだ、古き良き江戸の名残があった。



2005年6月26日(日)23:28 | トラックバック(1) | コメント(1) | 落語 | 管理


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