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2005年6月25日を表示

お江戸の意外な生活事情

 「お江戸の意外な生活事情」中江克己 PHP 文庫

 簡単な本だが、なかなか良くまとまっていて、面白く読んだ。

 江戸時代は、今の一つだけ前の時代で、武士については多くの記録も残っているのだが、意外と庶民の生活ぶりは記録が少ない。
 
 江戸の庶民と言っても、裏長屋に住むその日暮らしの野菜籠を天秤棒で担いで売り歩く棒手振(ぼてふり)から、大工などの職人とは随分違っていた。
 大工は代表的な職人で、収入も良く、エリートだった。江戸は火事も多くいつでも仕事はあった。

 しかし多くの庶民は、収入の多少にかかわらず、貯金などをしようとは思わなくて、収入の殆どを使い切って、愉快に毎日を過ごしていた。

 江戸の町は仕事はいくらでもあり、食べていくだけならなんとでもなった。また老後もそれなりに皆が面倒見るようなシステムもあって、とても暮らしやすい世界であった。

 とても感心するのは、効率とか、進歩とかを求めないで、物を大事にし、無駄の無い生活をしてた。

 世界でも稀なシステムとして、人間の排泄物を近郊の百姓が回収し、肥料としてた。しかも肥料代として、大家にその代金を支払っていた。つまり有機窒素の循環が行われていたのには驚く。

 だからその時代世界一の100万人都市であった江戸の大川なども白魚が泳ぐほど綺麗だった。

 歌舞伎の「三人吉三廓初買」で、大川端の有名な科白
 月も朧に白魚の、かがりも霞む春の空、冷てえ風もほろ酔いに、心持良くうかうかと~~~こんな調子だった。実に上手く環境が保護されていた。

 わらじも長く履くと擦り切れるが、みんな一箇所にまとめて捨てて、最後には肥料にしてた。

 古着は徹底的にリサイクルし、ぼろ着れになるまで使った。

 今の使い捨て文化を見ていると、こんなことが何時までも続くとはとても思えない。最近やっとエコロジーがうるさくなったが、根本で違っているような気がする。経済性を問題にしていてはいつまでたっても、解決しない。特に日本とアメリカ!
 
 便利になっても、豊かになったとは言えない面もあるような気がする。そんな江戸時代の生活にに憧れる。

 今でも東南アジアではそのような生活をしているところが随分ある。いつかはバリ島あたりに住みたいと思う今日この頃!



2005年6月25日(土)23:14 | トラックバック(0) | コメント(0) | 書籍 (短歌、漢詩) | 管理


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